Hooked on BINGE!

頭からはなれない映画、海外ドラマについて

10年越しにヴァンパイアと和解した話。トワイライト〜和解〜

こんにちは。まっくると申します。

今回、はとさん主催の素敵企画 #ぽっぽアドベント に参加させていただきました。沢山の好き!や想いが詰まった胸熱企画に参加できてとても嬉しいです。

本日12/17担当はトモイさんたっくまさんです。幸せだ〜!
テーマは「変わったもの、変わらなかったもの」

2020年、変化の多い年だった。

旅行すること、観劇に行くこと、映画館に行くこと、ふらっと美味しいものを食べにいくくこと。
大部分を占める趣味を自粛する事になり、初めは恐怖と同時に苦しいほどの喪失感に見舞われたのを覚えている。行く予定だった舞台のチケットの返金を申し込みながら、「自分は何の為に働いているのだろうか。」そんな疑問がわたしに付き纏ってきた。
昨年まで、この質問を聞かれれば「カネの為にきまってらぁ!」と胸を張って叫んでいたが、今同じ質問を受けたなら「カネを有意義に使う為」だったと、ちょっぴり冷静に答えよう。

しかし元来インドア大好きのポジティブ野郎だったため、慣れるのも早かったことは不幸中の幸いだった。見たかった映画やドラマをNetflixやHuluなどのサブスクで一気見したり、返金されたチケット代を「臨時収入だ!!!」と喜んでみたり(ちがうよ)、友人とオンライン飲み会やお茶会を開いたり。
2年前にふと思い立って買ったものの、殆ど動かしていなかったPS4を動かして、『Dead By Daylight』や『Ghost of Tsushima』というはいからなゲームをかなりの頻度でプレイするようになったり。夏にはゲーミングPCなるものも手に入れた。
現在は『サイバーパンク2077』というゲームで、イマジナリー キアヌ・リーヴスと罵り合っている。ノーマン・リーダス主演のゲームも恐ろしさで断念し、『パラッパラッパー』しかやっていなかった奴の大変な進化に自分でも驚いている。

もう一つ、大きく変わった事がある。トワイライターになったのだ。

映画『トワイライト』をご存知だろうか。ヴァンパイア&人間&人狼の三角関係を軸に物語が展開していく、ファンタジーロマンスシリーズ。これがやたらめったら面白い。
映画では、現在も第一線で活躍し続けているクリステン・スチュワートロバート・パティンソンが主演を務めており、この作品のファンは「トワイライター」と呼ばれている。最近毎日一度はトワイライトの事を考えていたわたしも(まだ駆け出し者ではあるが)その一人になったと言えるだろう。

今回は、世界中を今も魅了し続ける『トワイライト』についてお話ししたいと思う。
……いや、違う。これは『トワイライト』を何故か異様に恐れていた女が、一人のトワイライターに変わった話だ。

究極の夢小説、その名もトワイライト

2003年6月2日、アリゾナで暮らす主婦、ステファニー・メイヤーは不思議な夢を見た。
草原で2人の男女が話している。1人は輝くような美しさの男の子で、1人は人間の女の子。男の子はヴァンパイアで、女の子のことがどれほど気になっているか、それと同時にどれほど彼女を殺したいと思っているかを伝えている。

ステファニーは目が覚めてブチ切れた。「いいところだったのに!」そして彼女は夢で見た内容を元に、処女作『トワイライト』を書き上げた。まさに本物の夢小説と呼べるアツさが光る彼女の本を映像化した作品が、伝説の始まり、2008年に公開された1作目トワイライト〜初恋〜(原題:First Love)』だ。

10年前のトワイライトブーム

わたしがまだうら若き頃に(ボヤッと書かせていただこう)、日本でトワイライトが公開された。そしてブームが起こった
友人が早くからトワイライトファンだった為、自分も初期から映画&原作を見たり読んだりとトワイライトを嗜んでいた。
その頃から、正直恋愛小説はあまり好みではなかったが、映画が公開されていたことや、友人の熱量の高さに後押しされてとても楽しんでいた。
エドワードが好き?ジェイコブが好き?やっぱりジェイコブだな〜!!みたいな話できゃっきゃと盛り上がっていた(気がする)。
トワイライトにまつわる友人との素敵な思い出を持つ一人の女は、10年後、トワイライトを異様に恐れ、ちょっとしたスチルや動画を見て少しウッ…となる体質になっていた。

原作の最終巻がちょっと合わなかった

2010年頃〜、映画の『トワイライト・サーガ/ブレイキングドーンPart1/2』にあたる原作の最終巻を読み終わった瞬間、「なんじゃこりゃ!」と叫び、友人から借りた本を勢いよくバンッッと地面に叩きつけた。
……嘘だ。
実際には目の前に友人がおり、叫びながらもわたしは力なく本を机に置いた
本を読み切ったぞ〜!イェーーイ!という達成感は感じたが、心の中で謎のもやもやが広がっていた

あまりネタバレをしないように物語の展開をふんわりと伝えると、命懸けの出産をした母親から子が引き離される描写があったのだ。この描写(とその件に関連する事項の数々)に当時の自分は納得がいかなかったが、自分が何に苛立っているのかいまいちよくわかっていなかった。

ルッキズムミソジニーに呪われていた過去の自分

今ならわかる。わたしは物語に漂う家父長制の強さや、女の話がmuteされる展開にがっかりしたのだ。しかし何故がっかりしたのかわからず、腹を立てていた。
その頃の自分は、今お話しするのも本当にお恥ずかしいことだが、ルッキズムミソジニーに片足を浸していた。
実写版のトワイライトを見て、自分の中のちっぽけな美醜基準でキャストに文句をつけていたし、エドワードがするとんでもない事には目を瞑るのに、ベラのことは度々強く批判したりしていた。クリステン・スチュワートを好ましく思っても、ベラのことが好きではなかった。もしかすると嫌いだったかもしれない。
いや〜な価値観に体を浸しながら長い道のり(全10巻+映画3作)を乗り切ってきた為に、当該のシーンで自分の感情をうまく舵取りする事ができなくなってしまった。物語の中で大変な目に合っている妊婦を思う気持ちや、妊婦を責める周りの人間のプレッシャーへの困惑を抱いた時に、それを言語化することが出来なかった。
2012年に公開された映画版は演出が少し異なっていたが、原作の設定が脳裏にこびりついており、うまく消化できなかった。
当時、ずっと人狼のジェイコブ推しだったわたしがその時出した結論はこれである。

「ジェイコブはクソ!」(じゃないよ)

そして知らぬ間にトラウマに

その後この世の波に揉まれて数年が経った頃、気がつくと、トワイライトの映像を見るだけで、当時のふんわりとした感情やおぼろげな記憶、自分の幼さ、はたまた自身の恋など諸々が呼び起こされ、甘酸っぱさに心臓がヒュンッと鳴るようになっていた。
その後も沢山の映画を見たが、ヴァンパイアの登場する映像作品は無意識に避けていた。

あれから10年。トワイライト同時鑑賞会を開催することに

時は飛んで今年。『チャーリーズエンジェル(2020)』ですっかりクリステン・スチュワート沼に転がり落ちた。チャリエンの中の彼女のパワフルな視線やコミカルな演技が頭から離れず、改めて彼女の出演作を見直す日々。夏も終わりに差し掛かる頃には、避けては通れない道を感じていた。

それと同時にTwitterでフォロワーさん方と何故かよくトワイライトの話をする様になり、いよいよその時が来たと気づいた。
だが10年の間に蓄積された巨大感情のせいで、一人で見るのはとにかく怖かった。いろんな感情が湧き出して爆発しそうな気がした。

そこで、トワイライトをまだ見たことがなかった未見の方や、久しぶりに鑑賞したかった方、トワイライターの方と一緒に、Twitter#トワイライト同時鑑賞会2020 として鑑賞会を行う事に決めた。
その時はまだNetflix等でのサブスク配信がなかったというのに、わざわざ円盤や配信サービスを用意して時間を割いてくれたフォロワーさんには感謝しかない。
(12/17現在は、Netflixで全作品配信中。最高のシリーズなのでぜひ…!)
初回は2020/9/18。なんとなく決めた日にちが、映画『テネット』の公開日だった。ロバート・パティンソン出演作の予習だね〜とか適当な事を言いながら、いよいよ『トワイライト〜初恋〜』を見始めると、鳥肌が立った。登場人物たちは華やかで演技力が冴え渡っているが、いろんな部分の様子がおかしい。
忘れていたこの映画の熱量、楽しさを思い出して震えが走った

ヴァンパイア式の壁ドン

原作者のステファニーは、敬虔なモルモン教徒(LDS)だ。トワイライトシリーズにも彼女の信仰に沿ったポイントが多くある。

例えば、飲酒と喫煙。文学や映像の中で、この2つが誘惑あるいは悪の象徴として描かれることはとても多いが、トワイライトの世界では、どちらもほぼ登場しない。
夜道を歩く女性に冷やかしの声をかけるワルそうな兄ちゃん達だって、タバコもビールも持っている様子がない。いかついおっちゃん達も、ただ街角でお喋りしているだけだ。

そして婚前交渉の禁止。この作品では、ヴァンパイアと人間の特性を持ち出し、未婚の男女がセックスしてはならないというモルモン教の教えを完遂している。
信仰についてトワイライト作品で特別触れる事がなく、ヴァンパイアルールとして変換している為、正直なところ本シリーズの見所の一つとなってしまっているのは間違いないだろう。
トワイライト〜初恋〜』で、ベラ(主人公)とエドワード(ヴァンパイア)2人のキスがのってきた瞬間、性欲を抑える為にエドワードが壁に向かってぶっ飛ぶ壁ドンは最高なので是非確認して欲しい。

伝説のヴァンパイア草野球

ヴァンパイアは身体能力が異常に高い。その能力を安全に見せつける為には何をすればいいのか。そうだ、もちろん草野球だ。

ヴァンパイア一家、カレン家による草野球は、今回10年ぶりの鑑賞にあたりかなり楽しみにしていた場面だった。期待値が上がりすぎて、あまり面白くないかもしれないと不安に思っていたが、完全に杞憂だった。
原作愛を豊富に含んだワイヤーアクションによって、本当に撮影された映像は迫力満点。何故突然草野球がはじまったのか?という戸惑いも含めて最高の映像体験が出来る。
全編野球が見たいというトワイライターも多いが、ロバートパティンソン氏はメイキング映像で「二度とやりたくない」と語っているので、需要に供給側が答えてくれることはまずないだろう。
いっそいつの日か全国のトワイライター達を集めて草野球をして撮影したい。わたしが編集で5倍速にするので、みんなは腕と足を大きく上げて走って欲しい。

昔は心が折れてしまった当該のシーンを見た

『ブレイキングドーンPart1&2』が公開されたのは2012年。8年ぶりに見直し、衝撃を受けた。わたしは一体何を恐れていたのだろうか。初めて見る映画のようだった。
そこには、舐めた口を聞く奴等に拳で人生を分らせてあげるベラがいた。
そして、わたしが物語の展開以上に恐れていた、特定のキャラクターへのヘイトを募らせ、己の感情に対処できない自分、物語の構造を言語化できず、ただ戸惑うばかりの自分はもういなかった。
映画として楽しむところは楽しみながら、アウトな発言をする登場人物がいれば、はい!退場!ピピーッ!と笛を吹き鳴らしながらレッドカードを振り回せる自分になっていた。アウトな展開があれば、しっかり批判する事ができる自分がいた。

ヴァンパイアと一緒くたにして避けていた昔の自分を思い出して、アババババババとバグりたい気持ちももちろんあるが、変わった自分(少しはアップデートされた自分)の過去だと思えば、……まあ、うん、かわいくはないが、うん。
難しいことだが、これからも初心を忘れず自分に向き合って行こうと強く思わされた。

トワイライトを異様に恐れる女が、一人のトワイライターに変わった

トワイライト〜初恋〜』の学食のシーンを思い出しては心臓をゾッとさせていた女はもういない。ここにいるのは学食のシーンを真似して、机から転がり落ちたリンゴを足でキャッチしようとする女だけだ。
(ベラの香りを嗅いで、必死に己を律しようとするエドワードの真似も、美味しいご飯を食べる前についついやってしまう。今のところ誰にも気付かれていない。早く皆に披露できる世の中になれ…)

大人になると、好き嫌いがはっきりしてきて、苦手を好きに変えることが難しい。自分のご機嫌とりがうまくなればなるほど、苦手なものに近寄る機会がなくなってくる。
苦手なものにわざわざ近付く必要はまっっったくないが、好きなものが多いに越したことはない。
ずっと苦手意識を持っていたもののひとつが、大好きに変わるなんて心底ラッキーだと思う

映画を見ながら同時鑑賞会のタグを探る事で、2020年の価値観で同じ時代を生きる人たちが発する、様々な表現を吸収し、まるでマサラ上映のような祭り感を味わうことができて、大変助けられた。
トワイライトは1人で見ても楽しい映画だが、わたしの場合、1人では10年続いたヴァンパイアとのわだかまりをとくことはできなかっただろう。
和解の記念に、このブログを書きながらBlu-rayを注文した。少し棚に飾って、来年あたりから特典映像などを見漁ろうかな。

10年越しの達成感と共に、ちょっとした欲張りな気持ちも湧いてきた。来年も何かと和解できるだろうか。どんどん変わっていく自分でありたいな。な〜〜んてね!

何故かこんなに長くなってしまった謎の話を読んでくれた方、いつもリプライやハートを送ってくれる方、トワイライターのみなさん、そしてこの素晴らしい企画を作ってくれたはとさんありがとう。
次の一年、皆さんにとってのハピエストイヤーになりますように。

明日のアドベントは、いきゅみさんあいはらさん手芸センターポリちゃんの3名になります。毎日楽しみがあって嬉しい〜!!ハッピーホリデ〜〜!!


まっくるG


✴︎2021年は、トップトワイライター E. L. Jamesによる非公式の公式ファンフィクション(?)映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の同時鑑賞会を検討しています。
✴︎クリステン・スチュワートとマッケンジー・デイヴィスの激アツラブコメ『Happiest Season』が日本公開されますように……おれたちのクリスマスが終われないぞ……!